旅行

伊勢原の日向薬師(ひなたやくし)

神奈川県北部の丹沢山地に、奈良時代に行基菩薩が開創した寺で、日向薬師として親しまれてきた宝城坊があります。ここの薬師如来は日本三薬師の一つで重要文化財になっています。2016年に平成の大改修を終えた本堂は、正面の朱塗りの角柱や茅葺の屋根が珍しい感じがします。

脇にある鐘堂に吊り下げられた銅鐘は、1340年に鋳造されたもので、これを含めたくさんの重要文化財を有するお寺です。

鐘堂の横に立つ2本の巨大な杉の木は、「幡(はた)かけのスギ」と呼ばれています。足利基氏が幡をかけて平和と五穀豊穣を願ったとされ、神奈川県の天然記念物だけあって、真っすぐに天を突くような立派な杉です。

本堂の隣には宝物殿があります。内部には中央に室町時代に作られたという大きな厨子があり、内部にはご本尊の薬師如来・日光菩薩・月光菩薩が安置されています。

昔は開扉は十二年に一度の寅年に行っていたそうですが、現在は正月三が日と初薬師の一月八日、大法会の四月十五日に行っているそうです。宝物殿の受付のおじいさんがおっしゃることには、一時期地方の寺社の貴重な文化財や秘仏を狙う窃盗事件が多発したそうです。数年に一度の開扉で、開けてみたらなくなっていたということがあると、いつからなくなっていたのかもわからず捜査ができないということもあって、毎年開扉するところが増えたのだということです。

私たちが結構じっくり鑑賞していたので、このおじいさんがいろいろと解説してくださいました。本尊の周りに鎌倉時代に作られた十二神将が配置されているのですが、その中の招朴羅(ショウトラ)大将像の裏側まで見えるところへ案内してくれました。

十二神将は干支に対応していて、招朴羅大将は戌年に当たります。この像を後ろから見るとおしりをクイッと突き出していてちょっとセクシーなポーズです。正面からは鬼のような形相で勇猛な感じなのですが、安産の象徴である犬(戌)を、このおしりで表現しているのだそうです。

また、本堂の薬師如来と宝物殿にある二体の薬師如来を合わせて三体の薬師如来をお抱えしていることなど、詳しい人に聞かなければ分からないことをたくさん教えていただき楽しいひと時を過ごすことができました。

ただ、外で孫と一緒に待っていた娘には、相当待たされたうえに蚊に刺されてさんざんな目に合って申し訳ないことをしました。

 

 

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