アート

「触生」田中信行 ~in奥能登芸術祭2023~

薄暗い古民家の奥に進むと、8畳ほどの和室の中央に田中信行さんの漆を使った立体作品「蝕生」がありました。

部屋の中に入って間近に見ることができないのではっきりとは分かりませんが、赤い漆と黒い漆がまじりあったようなつやのある表面が、強い存在感を持って立っています。

「蝕生」とう題名にふさわしく、触ってみたらきっと生きて鼓動を打つ巨大な心臓のような感覚がするだろうと思わせます。

引き込まれるような美しさをたたえる作品ですが、一つ残念なのは展示室の外側から一か所だけ開かれた戸の外側からしか鑑賞できないことで、できればもっと近づいていろいろな角度から作品を見てみたかったなと思いました。

氏は北陸地方で最も実力のある学生を抱える金沢美術工芸大学の工芸科教授です。

漆工芸というと伝統的な生活品や道具などをイメージしがちですが、田中さんはそれとは一線を画す現代的な立体作品を作る人で、現代美術作品の展覧会にもよく名を連ねています。

奥能登に所縁の深い地域の作家で、しかも輪島を抱える能登地方の特産品でもある漆を使った作家なので、作品の展示方法に関しては運営側がもう少しその点を強調したり工夫をした方がいいのではないかという気にさせられました。

 

 

 

 

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