アート

「ヘザウィック・スタジオ展」

東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)で開かれている「ヘザウィック・スタジオ展 ~共感する建築~」を見てきましたが、東京の街を360度一望できるこのスペースに負けないくらいの、迫力のある展示でした。

建築音痴の自分には、ヘザウィック・スタジオがどんな集団なのか知りませんでした。ロンドンオリンピックで同心円状に並べられた数十本の聖火ポールが立ち上がっていき、最後に炎でできた大輪の花のようになる感動的な聖火台を作ったイギリスのデザインチームだったのでした。

上海万博(2010)でヘザウィック・スタジオが手掛けた英国館の模型を見ると、数百本の針のような棒が中心から突き出していて、真っ白で四角いウニのように見えるので、建築物には思えません。一体どこから入るのだろうか、内部はどうなっているのか、どうやって建物を支えているのかなど、いろいろな疑問が湧き上がってくる不思議な建物です。

そのような疑問は、建物の断面図や解説をみればある程度は理解できるのですが、それでもそれが分かっていても、現実にこんな大きな建物が空間に成り立っているのがありえないような気がしてきます。

2021年にニューヨークに誕生した「リトル・アイランド」も、とても奇妙な巨大植物プランターを寄せ集めて海に浮かぶ小さな島を形成しています。

コンクリートの円柱の先端は八角形に広がり、円柱の中心は窪んでいるので土が入れられ木が植えられています。一本一本の円柱は海に突き刺さり、たくさんのこのプランターは八角形の部分で互いに支え合いながら海面からも浮き上がっています。

対岸からリトルアイランドを眺めると、とてもこれが一つの島には思えない光景ですが、一旦この島に足を踏み入れれば、島を支えている柱は全く見えないので、一つの島のしっかりした大地の上に立って、木々の間を歩いているような気がするのでしょう。

アイディアスケッチ、模型、写真、動画など様々な表現で、手掛けた建築やデザインを展示してありますが、どれも壮大なスケール感と自然に共鳴するようなアプローチが見るものを惹きつけます。建築を志す人ならば、きっとこのスタジオに入ってすごいプロジェクトを手掛けてみたいと憧れるでしょう。

展示スペースの一角に、コマのようなおかしな形をした物体がいくつも転がっていました。そこには一緒に展覧会を見に行った孫が嬉しそうにちょこんと座っていゆらゆら揺れています。底の部分がとがっているので、体を傾けるとぐるんぐるんとまわる椅子なのです。

どこかで見たことあるなあと思ったら、そういえば地元の建築会社が作ったカフェの庭にこの椅子があったことを思い出しました。その建築会社もおしゃれな設計をしていたので、きっとヘザウィック・スタジオのデザインが大好きなのでしょう。

今年中には「麻布台ヒルズ」という名称で、住宅や店舗などの複合施設が完成するようです。ヘザウィック・スタジオの設計建築を、国内で見ることができるようになるのが楽しみです。

 

 

 

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