手抜き生活

京都府立陶板名画の庭で、実物大のミケランジェロの最後の審判をみる

バチカン市国のシスティーナ礼拝堂に行ったことのある人なら、その壮大な規模に圧倒されたことでしょう。その礼拝堂には、ミケランジェロが描いたフレスコ画が正面にあります。バチカン自体が人の大きさ間隔を超越した空間なので、それほどその大きさにはびっくりしないのですが、この名画の庭に展示されている最後の審判は、単体で設置されているので、改めてその大きさにびっくりします。

この京都府立陶板名画の庭は、有名な建築家の安藤忠雄さんの設計です。それだけでもすごいのですが、その空間の中に世界中の有名な名画が展示されているというのが面白い。敷地はあまり広くなく、エントランスは通りの多い道に面しているのですが、奥行きが深くごくわずかしか外から様子がうかがえないので、今まで自動車で通りかかったことがあったと思うのですが、全く気付いていませんでした。

入場料100円という安さで屋外庭園なので、近くを観光した後休憩がてら寄るのもいい感じです。エントランスが上部階となっていて、安藤忠雄さん特有のコンクリート打ちっぱなしの壁や梁で構成されていますが、その所々の壁面に沿ってザーザーと水が流れ、滝の壁になっています。この水音で、屋外でありながら外部の音は遮断され水の中にいる感覚に包まれます。

直線で仕切られた通路や床面の所々が、滝の壁の水が流れ落ちる幾何学系の池になっています。入り口すぐの池には、なんとモネの睡蓮の陶板画が水中に沈んでいます。これは、色も本体も半永久的に保管される陶のタイルに絵が焼き付けてあるからこそできることです。

これらの作品は、実物大であったり、鳥獣戯画などは二倍の大きさであったりしますが、本物の全体を見ることなどはめったにないので、長い巻物を廊下に沿ってみていくのも楽しいものです。

この日は平日の日中だったので、庭園管理の人たちが陶板にじゃあじゃあと水を掛けながら掃除をしていました。

エントランスからは見えない裏側に行くと、ダヴィンチの最後の晩餐が表れます。これは実物大です。数十年前自分がヨーロッパに行った時は、修復中で見ることができなかったものです。もし、今実物を見たとしても、たくさんの観光客に埋もれて、薄暗い教会の中での見学なので、お日様の光を浴びながら見る陶板画とは全然違ったものに見えるでしょう。

スケール感は実物と同じもので、細部はずっと細かいところまでじっくり見ることができます。小説「ダビンチコード」にも書かれていましたが、ユダの脇から出ているナイフを持った手がはっきり見えます。この場にいる誰の手でもない隠れた謎の人物の手にしか見えない不思議な構図です。

上部階からも最後の審判は見えますが、下の階に降りて行って下から見上げるのもおもしろいです。ちょうどいい場所にベンチもあるので、しばし水音に包まれながら絵を眺めて満喫してきました。

今回は友達のYさんのリクエストでここに来ました。いつもは家族旅行で目的地までぴゅーっと車で行ってしまうのですが、新幹線+地下鉄+徒歩というゆっくり旅行なので、いろいろな発見ができました。

 

 

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