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ティハール ~ネパール光の祭り:後編~

ティハール前夜祭は賑やかに騒いでいた人々も、翌日は田舎へ帰ったり家の中で祭事を行います。私もAちゃんの家で祭事に参加させてもらうことにしました。Aちゃんの衣装は、近年のネパール女性が普段着によく使う長めのシンプルな上着にパンツスタイルです。気に入った布を見つけて仕立ててもらったそうで、とても似合っています。

3人のお姉さんたちは、皆伝統的な衣装の赤いサリーに金のアクセサリーをじゃらじゃらつけています。赤は若さ、金は富をもたらすものとして、ハレの日には女性はほとんどこの格好だそうです。私と娘にも赤と金色がついたプラスチックのブレスレットをじゃらじゃらつけてくれました。ちなみにサリーは上下に分かれていて、みんなおなかが出ています。おなかが冷えそうですが、慣れているから平気なんだそうです。

このお祭りはお姉さんと弟のお祭りでもあるそうで、結婚した女性は実家へ帰って祭事を行います。Rさんのお母さんの姿が見えないのでどうしたのか聞くと、お母さんの実家へ行っているそうです。お母さんはかなりの高齢なので、その実家は世代が変わっているかもしれないけれど、ちゃんと毎年行くんだなあと感心しました。ネパールのお祭りは、家族親族が集まって幸せを願いながら絆を深めるお祭りなのです。

お祭りの初めに祭壇を作ります。聖水、お供え物、花、色粉を並べてろうそくに灯をともします。茎のないマリーゴールドや紫色の千日紅の花を大量に準備し、花びらをちぎって家中に撒いたり、頭の上からふりかけたりします。みんなそれぞれ大声で勝手なことをしゃべっているので、厳かな雰囲気とは程遠い喧噪の中で行事が進みます。その後、玄関へ行って水をまいたり花びらをまいたりして神様を迎えます。

男性は上半身裸になりお姉さんたちにオイルを塗ってもらい、新しいシャツと新しいトピと呼ばれるネパール独特の帽子をもらって着替えます。Aちゃんの子どもSちゃんも全身裸にされオイルを塗りたくられるのでギャン泣きですが、お構いなしにみんなで大騒ぎしながらやっています。我が家はちょうど娘と息子も参加していたので、弟にオイルを塗ってあげていました。カトゥマンズは標高が高い上に11月なのでかなり底冷えがします。祭礼の3~4時間はずっと裸に近い状態です。どこの家にもほとんど暖房はなく、湯たんぽなどで寒さをしのぎます。(三ツ星以上のホテルにはあります)暖房があってもしょっちゅう停電するので意味がないそうです。真冬に来なくてよかったと思いました。

全員におでこにティッカを塗ります。普通は赤い丸をちょんとつけるだけですが、色絵に使う粉で縦長の四角状にカラフルにつけます。始めに葉っぱを四角に切り抜いた型をおでこに当てて黄色っぽい粉を水でどろどろに溶いたものを塗ります。それが乾かないうちにいろいろな色を乗せていきます。全員のおでこに付けるのに相当時間がかかります。

大騒ぎの内にお祭りは終わり、お菓子やドライフルーツなどのお供え物を人数分のビニール袋に分けて配ってくれます。散らかっている花びらなどを片付けると、ようやくお昼ごはんです。ネパールの定番食ダルバートには、スープ、カレー、つけもの、ご飯がワンプレートに乗っています。普段は野菜カレーが主ですが、この日はRさんがヤギの肉を仕入れてくれて、ヤギ肉のカレーでした。ヤギ肉は少し臭みがあるのですが、石臼でつぶしたての香りのいいスパイスが匂いを消すので、とても美味しいのです。

現地の人でなければできないような経験ができて最高の思い出となりました。Aちゃんは美しいサリーも何着か持っていて着せてもらう予定でしたが、バタバタしているうちにころっとわすれていました。いつかまた訪ねていきたいと思っています。

 

 

 

 

 

 

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