アート

水木しげる 魂の漫画展(岡崎市美術博物館)

夏休みもあとわずかです。ここ3年間くらいは、夏休みの宿題に追われる子どもが家にいないので、なんとなく8月末といってもあの切実感がなくなりました。

岡崎市美術博物館では夏休みの間、漫画家の水木しげる展を開催していました。真夏の気候に戻って4日目、少しでも外に出るとめまいがしそうなほど暑い日が続きます。

夏と言えばお化け、お化けと言えばゲゲゲの鬼太郎ということでしょうか。でも、水木しげるのお化けの漫画はあまりゾ~っとするようなものはないので、安心して読めます。

展覧会はいくつかの内容に分かれていて、その度に紙芝居のコーナーがありました。2分半ほどで見どころが分かり、楽しく鑑賞できます。

特に戦争で南の島に派兵され、爆撃で左腕をなくしマラリアにかかり、瀕死の状態からかろうじて一命をとりとめたものの、自分の食料は自分で確保しなけらばならなかったことに、ものすごい生命力を感じます。そして、ジャングルの奥地に住む原住民と仲良くなり、食料を分けてもらったことや、戦後二十数年ぶりでその島の原住民を訪ね、むかし教えた「雨雨ふれふれ」の歌をみんなで一緒に歌ったことなど、数奇な運命をたどったのだなあと改めて感じます。

片腕しかなくても自転車に乗り、マンガを描き、自分のやりたいことをやり通した水木しげるの凄さを感じられる展覧会でした。

自分は子供のころからマンガが大好きで、大学を卒業するまでの知識の半分はマンガで培ったと言えます。また、親に隠れてマンガを読みふけり、マンガばかり読んでいて勉強をしないとしかられる学生生活を送ってきたので、マンガを読むことに罪悪感が身についてしまいました。

近年マンガやアニメなどを公共の美術館や博物館が、展覧会の企画として取り扱うことが増えてきました。こういう展覧会は美術に興味がない人でも気軽に見ることができるので、親(というよりも祖父母世代でしょうか)は懐かしさを味わいつつ子どもはマンガの原点やレトロな表現を知って楽しむことができます。

それはいいことだなと思いますが、これが芸術と大衆文化が融合してきている兆候なのか、単なる人寄せパンダ的な取り組みなのかいつもなんとなく疑問に思いながら会場を後にします。

深く考えるのが面倒な人間なので「まあ、楽しめたからいいか・・・。」と締めくくるのですが、この先もこういう企画は増えていくのだろうなと思います。

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