二男の誕生日は1月の半ばです。1年で一番寒い時期に生まれましたが、兄弟の中で一番大きく生まれたので、寒い間も病気せずすくすくと育ってくれました。時々想定外のことをする子で、、一人で歩けるようになるといつの間にか家から出て行って、近所を歩き回っていて肝を冷やすこともありました。小学生くらいになると、友達と大量の泥団子を作って近所の家の庭にずらりと並べて叱られたりして、いろいろいたずらをするので菓子折りを持ってお詫びに行くことも何度かありました。
そんなやんちゃを繰り返してきた子なので、ひょっとしたら成人する前に何か事故にでも巻き込まれて命を落としてしまうかもしれないと心配しましたが、友達や学校の先生方に恵まれたせいかグレずに大学まで進学し、成人式を迎えられたときはホッとしました。祖父母にかわいがられた子なので、今は兄弟で一番おばあちゃんの世話を良くしてくれる優しい子でもあります。これ以上望むことはないなと、今になってようやく二男の存在をありがたく感じています。
♪さざんか さざんか 咲いた道、たき火だ たき火だ 落ち葉たき~♪と童謡にあるように寒い時期の花は山茶花と思い込んでいたので、赤と白の絞りの美しい花を庭に植えました。ところがその後この山茶花は2度の苦難にあうことになりました。
ホームセンターで花が咲いている状態で苗を買ったので、当然次の冬には咲くだろうと思っていたらその後11年間一回も咲きませんでした。葉もわずかしかなくヒョロヒョロで、当時の二男もそんな感じでした。我が家の庭は日当たりが悪く、環境が悪すぎるのだろうと思い、植えてから6年目にようやく日当たりのいい場所に植え替えました。根もあまりしっかりしていなかったのでうまく根がつくか心配でしたが、1年くらいでなんとか新しい葉がでてきて幹も20センチほど伸びました。
この調子なら、次の冬は待望の花が見られるかもしれないと思っていたある夏の日、夫が珍しく庭で茂りすぎた草を刈っているのをみて愕然としました。あの山茶花の幹ががほぼ根元からばっさりと切られていたのです。何年も花が咲かないので雑木と思ったのは無理もありませんが、この時だけは涙が出ました。それ以後「この木は、二男の木で大事な木なんだ」とか「これは、次の冬に花が咲くのを楽しみにしている木なんだ」とか自分が植木に対して感じていることを、できるだけ家族に言葉で伝えておかないといけないなと心がけるようになりました。
あきらめていた山茶花ですが、なんと秋には脇芽が出てきたのです。なんとしてでもこれを育てていかねばと思い、夫にも絶対に折らないよう注意しておきました。そして、その2年後ついに二輪の花をつけてくれたのです。一輪を二男が小さいころガラス工房で作った花入れに生けて、復活をお祝いしました。当時、溶けたガラスに強く空気を吹き込めなくて、クシャけてしまいましたが、枝の短い花などを生けるのにぴったりで重宝しています。
その後二男も山茶花も無事に育ってくれて、今では、筋トレが趣味の二男は誰もがびっくりするマッチョガイで、山茶花もここ3年間くらいは何十もの花を3週間くらいに渡って咲かせ続けてくれます。ただ、山茶花は品種によって咲く時期が10月から4月くらいと幅があり、我が家のは毎年1月ではなく10月半ばに咲くようになりました。それとは対照的に、昔から裏庭にある真っ赤な山茶花は3月から4月に咲きます。