旅行

自転車ツアー:その2 ~クマに出会う~ 

長男は学生の時自転車部に入り、休みごとに日本全国を自転車でツアーに出かけていました。一台十数万もする本格的な自転車を大学入学祝いとしておじいちゃんに買ってもらい、自転車の整備もツアーの計画も自分で行い、大学3年の時はその集大成として日本縦断ツアーを決行しました。

彼の入っていた自転車部の通常の活動は、月1~2回の週末に、日帰りで行って帰ってこられる場所を選んで経験を積むことです。日帰りといっても往復200~300キロメートルくらいは軽くこなしていたようでうです。そして、夏、冬、春の長期の休みは1~3週間くらいの長期のツアーを企画します。おそろいのTシャツやタオルなどを作ったりして、本当に楽しそうでした。

長男は、自分が考えたことや経験したことを自分から話す方ではないので、ツアーに行き実家に帰ってくる度に、根掘り葉掘り旅で面白かったことを聞き出しました。

面白かった話を一つ紹介します。あるツアーで目的地までへの近道を探しながら舗装もされていない山道を走っているうちに、夕暮れが近づいてきてしまいました。グループは3~6人くらいで活動するのですが、先頭を走っていた仲間がいきなり自転車のきびすを返して「逃げろ!」と言いなら元来た道に向かい始めました。何事かと不審に思い、薄闇に包まれた前方を見やると、トコトコとクマらしき黒い影が歩いています。クマはこちらに気づいていたかどうかは分かりませんが、みんな反対方向に全速力で走り、山を下ったそうです。

自転車部のメンバーは50~60人くらいいて、小グループで計画を立てて活動しているのですが、方面は同じなので、常に情報を共有しています。息子のグループ以外にもクマに出会ったグループがいて、その子たちは山を下りることができず、山の中にある公園のたった一つのトイレの個室に逃げ込んだそうです。4人がぎゅう詰めになり、夜が明けるまで寒さと怖さに耐えながら一睡もできずに過ごした、というのです。

自分が学生だった頃は、自転車旅行という発想が自分の中になかったので、鈍行列車に乗ってはるか遠くに行き、ユースホステルなどの安宿に泊まり、そこで出会った人たちとふれあいたいと思っていました。けれども、いろいろな事情で1週間以上家を空けることができず、それに近い旅行ができたのは、6年間の学生時代の中で3回だけでした。その3回は、自分でお金を貯め、調べて情報を集め、計画を立て、予約をしただけあって、生涯忘れることのできない旅になりました。

近場の旅行でも、自分が見たいものを探しに自分で計画した旅行を考えた方がいいことは分かっていますが、ついつい誰かの計画に安易にのっかってしまいます。これからは、誰かの発案であっても、ちゃんと自分で調べて自分で選ぶポイントを持っていこうと考えています。

 

 

 

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