東京大学の駒場キャンパスには博物館があります。民俗学的な発表展示が時々行われていて、メキシコ関連の展示があった時見に行ったことがあります。メキシコでは伝統食として昆虫が食べられており、テキーラとかメスカルといった度数のかなり高いお酒に、その原料となるアガベ(リュウゼツランの一種)につく芋虫がお酒と一緒に瓶に入れてあるものがありました。虫はそれほど苦手ではありませんが、昔から芋虫だけは大嫌いでした。「うわ~、気持ち悪い~」と思っていましたが、なんとその1年後に芋虫を食べることになってしまいました。
あんなに遠くの国に行くことはないだろうと思っていたメキシコですが、娘が行くと言い出したのです。これは、一生に一度かもしれないと思って行くことにしました。メキシコシティとカンクンを観光した後オアハカに行きました。オアハカはメキシコの中でも民族の多様性があり、メキシコ人にとっても行ってみたい観光地なのだそうです。
そして、オアハカの高級伝統食レストランを予約して行ってみました。メニューの写真を撮るのを忘れてしまったのですが、娘がトラディショナルコースで私がコンテンポラリーコースにしました。トラディショナルだと、伝統食である昆虫がたくさん入っているかもしれないという理由でしたが、逆でコンテンポラリーの方がいろいろな虫てんこ盛りコースでした。
この旅行は何事も最初で最後かもしれないから、何にでもチャレンジすると決心していました。だから、虫が出ると分かっているレストランにあえて行ったのです。店のエントランスは高級感があふれていて、2階のテラス席に案内されました。始めは明るくて風景も楽しみながら食事を始めましたが、だんだん日が暮れてくるとテーブルライトを灯してくれましたが、かなり薄暗い感じになりました。オードブルからメインまで全てに何らかの虫が入っているので、虫料理初心者の私にはこの方があまりはっきり見えなくてよかったかもしれません。
上の写真は、伝統的な調理法の石臼で材料を混ぜてソースを作ってくれるところです。左奥の黒い容器に入っているピンクの芝エビのようなものが虫だそうです。芋虫かもしれませんが、怖くてアップの写真が撮れませんでしたが、乾燥させてあるみたいでした。
アリが30匹くらい入っているタコスとか、バッタをカリカリに調理してある料理などがいろいろ出ました。民族的な要素を取り入れたセンスの良い食器に盛り付けられて、美しく素敵です。
どれも少し土臭いような素朴な風味が感じられて、おいしいと言えばおいしいのですが、あまり想像するとちょっと涙目になりそうで、心から堪能するというところまではいきませんでした。でも、頑張った自分に対して、忘れられない料理となりました。