旅行

日本一美しい観音様

滋賀県の長浜市高月町には、日本一美しいと言われる観音様があります。寺伝では天平八年(736年)に泰澄大師が作ったとされていますが、様式から考えると平安前期(860年頃)ではないかと推察されている国宝です。

ほんの少し左足に重心を置いて立ち、反時計回りに見ていくと流れるような体の動きが感じられます。このごくわずかな流れが、はっとするほど美しいのです。観音様の周りをぐるりと拝観することができるので、この流れを感じられる瞬間が見たくて4回くらいぐるぐる回ってしまいました。

お顔や細部のつくりなど、素晴らしい点は多々ありますが、日本一とうたわれているだけのことはあります。

お一人でみえた年配の女性は、お賽銭をあげてから像の前に正座し長い間手を合わせていました。私はただ立ったまま眺めていたので、申し訳ないような気がしました。

お寺を出ると、近所のおじいさんが小谷城があった山などが一望できる場所を案内してくれました。小谷城は浅井長政に嫁いだお市の方(織田信長の妹)が三姉妹を生んだ場所であり、そのふもと辺りは織田と浅井・朝倉の戦いが繰り広げられた姉川古戦場だそうです。

この時の戦火から観音様を守るために、村人たちは寺の前の畑に観音様を埋めて難を逃れたのだそうです。少し北へ向かうと木之元地蔵があり、賤ケ岳の合戦場もあります。今はのどかな地方ですが、戦国時代まではめまぐるしく変わる歴史の舞台だったようです。田んぼのあぜ道に立って小谷山をながめていると、日本史にうとい自分でさえも感慨深いものがあります。

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