子どものいる風景

家庭でできる3歳までに身につけさせたい3つの運動能力 〜水浮き実践編〜

3歳までに身につけさせたい運動能力として、安全・水浮き・前転を前回のブログで取り上げ、特に安全について書きました。

今回は、水浮きについて具体的に書きます。

元々赤ちゃんはお母さんの羊水の中で、プカプカひたりがながら気持ちよく10ヶ月を過ごしてこの世に出てきました。

ですから、生後すぐに肺呼吸に切り替わったとはいっても、水の中は大好きなのです。

産科での出産後、お母さんが退院する前までに沐浴の方法を教えてくれると思います。数十年前自分が長女を生んだ時、数日前生まれたばかりで首もすわっていないの赤ちゃんを、助産婦さんがいとも簡単そうに扱いながら「お湯の中は浮力があるし、つい数日前まで水の中で生きていたんだから、赤ちゃんも伸び伸びするし、自由自在に扱えるんですよ。」と言って、片手でスイスイと赤ちゃんを少し大きめのベビーバスの中で泳がせているのを見て、本当にびっくりしたものです。初産のお母さんやお父さんにとって沐浴は大変な作業かと思います。でも、おっかなびっくりだった作業も1週間も続ければすぐに慣れることはご承知の通りだと思います。

この沐浴の段階から、可能であればお父さん担当の仕事にした方がいいと思います。近年随分と育児ができるお父さんが増えてきましたが、しっかりと産休・育休が取れる人は滅多にいないので、お父さん担当といっていてもどうしてもお母さんの出番が増えていくものです。両親ともに水浮き運動の支援ができるようになれば、もう少し子どもが大きくなって家族でプールや海に連れて行ったときなど、お父さんは大活躍できるでしょう。

生まれたばかりの赤ちゃんを扱うとき、特に沐浴の時にはつい肩に力が入ってしまいそうです。けれどもゆっくりとお湯の中に仰向けの赤ちゃんの体を入れ、後頭部の付け根を親指と人差し指で軽く支え、その手のひらで首のすぐ下の背中上部を支えてやる形をつくれば、片手だけで安定して子どもを支えることができます。

浴槽の壁に足がつかないように、しばらくお湯の中でプッカリさせていると、やがて赤ちゃんは再びお母さんのおなかの中に戻ったように安心して、お母さんのおなかを蹴ったりして、自由に動かせていた時の様に自分で自分の体を動かすことを思い出します。

こうして赤ちゃんも保護者も共に力を抜いてお湯に浮く瞬間がとても大切で、これさえできれば目標は達せられたも同然です。

自分の子育ての頃は、産院から帰るとすぐに一緒にお風呂に入れていましたが、近年は感染症予防のため、一か月間くらいはベビーバスで沐浴させる方が多いことでしょう。ベビーバスは底が浅いので、おしりや足が底に付けられて安心かもしれませんが、一回の沐浴に一度は、体が水と水平に近くなるぐらい寝た状態で浮かせて数秒間リラックスさせます。このプッカリ体験をし続けることが重要です。

やがて保護者と同じ湯船に入るようになっても、毎日必ずプッカリタイムをつくり、片手だけで親の体の周りを仰向けのままユラリユラリと泳がせます。手の角度を微妙に変えてやるだけで、頭部が起き上がり気味になりおなかまでしっかり温められる角度や、親指と人差し指で両耳を塞いでお湯が入らないようにしてから、体を水面と水平に平行なくらいの角度にして、完全に浮いている状態に近い浮かせ方もしてみましょう。

これを3歳までずっと続けられれば水浮きはパーフェクトですが、ほとんどの人は赤ちゃんの体がしっかりしてくるとともにやらなくなる動きなので、あっという間にできなくなってしまいます。赤ちゃんも、お湯の中での不安定な動きを怖がるようになって、双方に余分な力が入るようになってしまっています。

けれども、やろうと思った時にできなくなっていても、5,6歳くらいまでなら少しひざ下を曲げさせれば、家庭のお風呂の大きさでできます。慌てず毎日少しずつ上に書いた水浮き練習を楽しみながら「プッカリタイムだよー。」とお風呂遊びの一つとしてやっていきましょう。本来やれていたことなので、必ずできるようになります。

体浮きの理想的な体勢は、保護者が指での耳栓をせずに、仰向けの顔が半分沈んであごはほんの少し上げ気味、口は閉じて鼻の穴が出ているだけぐらいにします。また、胸を張ると同時におへそも水面から少し出ている状態が、完全な水浮き状態で、多少耳にお湯が入っても平気なくらいになれるといいでしょう。この体勢のどこか一部にでも力が入ると、たちまち沈んでしまいます。子どもが怖がらずにこの体勢ができるようになるまでは、そっと耳栓をしたり、おしりと背中の間位の部位を手のひらでごく軽く支えて5秒くらいはできるようになったら、支えなしにしていきましょう。

一方、子どもが鼻で息を吸い、息を吐くという呼吸感覚がわかり、「鼻で息を吸ってー。止めて。今度はゆっくりスーッと鼻から息を出すよー。」という声掛けと同時にそれができるようになるのは、早い子で一歳半くらいでしょう。これをお湯に顔を付けない状態でできるようになったら、次はブクブク練習で、体浮き練習と並行してやっていきます。

次の段階は、口で息を吸った後顔は垂直にしたまま、口まで湯船に沈めて鼻でゆっくり息を吐きます。この段階で一瞬で息を出し終えるのではなく、できるだけスーッと長く3秒くらい出し続けられることを意識させるといいでしょう。口までお湯をつけることに慣れてきたら、鼻まで沈めながら「ブクブクタイムだよ。息を吸ってー。ゆっくり出しながらー。ブクブクブクー。」と声掛けしながら鼻からゆっくり小さくブクブクと息を出させます。沈んでから息を出し始めるのではなく、沈みながら出せるといいでしょう。

子どもが成長してきたら目の下ギリギリまで顔を沈められるように深さを出していきます。最初は湯船の底に足をついてしゃがんだり座ったりして顔を垂直にした状態で練習を繰り返します。それが無理なくできるようになったら、浴槽の湯量を子どもの肩くらいまでに下げてお風呂に入れます。体浮きの時の片手の使い方と同様に、子どもの頭に手を添えてゆっくりと仰向けに寝かせていき、鼻がお湯につかるところからまたブクブク練習を始めます。もし、鼻にお湯が入って子どもがパニックになったら、すぐに体を起こして息が吸えるようにしてやります。

おふろの湯は真水ですから、鼻の穴に入るととても痛くて恐怖感を持ってしまうので、この練習もまたゆっくりです。仰向けに沈んでいくことに抵抗がある子は、顔をかがめて水に着く瞬間からブクブクする方法でもいいでしょう。

プッカリ練習とブクブク練習が共に怖がらずにできるようになってきたら、この二つを連動させてプッカリ浮いた体勢から、おしりを沈めながらブクブク練習につなげ、これを何度も繰り返して出来たらもう、自分からどんどん潜って遊ぶようになります。ゴーグルなども活用して、お湯の中でおもちゃを拾ったりじゃんけんしたりと遊びの幅が広がっていくでしょう。

最終目標は、仰向けでの水浮きと、下向きのブクブクができるようになった後、うつぶせで3秒間くらい力を抜いて浮くことですが、ここまで随分と字数を取ってしまいました。うつぶせ浮きについては、最終的なまとめでポイントについて書こうと思います。

ここでもう一つ、生後一か月くらいから実践してほしい水慣れ活動があります。それは、顔に水がかかってもパニックを起こさないようにすることです。

どんな場合でも鼻からお湯が入れば痛いので、そういう状態にならないよう顔の角度をやや立て気味にして赤ちゃんを浮かせ、体を洗うためのガーゼをややお湯が多めの状態に軽く絞って、ちょんちょんちょんと目の周りを拭いてやります。これを少しずつ多くしていって、首が座るころには、ジャーっとおでこの辺から絞ってお湯をかけてやれるくらいにしていきましょう。

この段階がクリアできれば、頭をシャンプーした後にシャンプー成分をしっかり落としてから、優しく頭の上からシャワーをかけてやります。毎回続ければ、シャワーのお湯を鼻で吸い込んだりしないコツを身に着けていきます。

また、濡れた顔、特に目の周りを慌てて必要以上にゴシゴシこすってしまう子がいますが、これは目の内側まで粘膜などを傷つけてしまう恐れがあるので、顔が濡れた後は、保護者が優しく手のひらでお湯を下に落とせば何も痛くないのだという事を繰り返し行い、本人にもやらせて理解させてあげてください。手のひらと言っても、人差し指、中指、薬指の三本くらいで面を作り、そっとまぶたのお湯を拭い落とすような動作がいいでしょう。

長々と説明を書きましたが、毎日のほんの少しの継続で水の中平気で大好きな子になっていくのは、頼もしいことです。子どもは、水の中でパニックを起こすと、水深10センチの場所でも危険なことがあります。小学校での水泳授業はもちろん思い切り楽しめるでしょうし、海に遊びに行った時もパニックが原因で溺れてしまうような心配がずいぶん軽減されるでしょう。

 

 

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