子どものいる風景

子どもの作品

我が家の子どもたちは学校の美術・図工授業などで作品を作ることが大好きでした。持ち帰ってきた作品を見ると、本人の思い入れが感じられるものばかりでなかなか捨てられません。一番下の子が成人した今でも、家の棚の上や壁の上部にある小窓の桟などに飾ってあります。一度紙に書いた作品などは写真に撮ってデータを保存してから処分したのですが、そのデータがどこにあるのかを探さなくちゃと思いながらなかなか着手できません。

子どもたちの作品にどうしてもこだわってしまうのは、自分が小・中学校の美術教師だったからだと思います。週に一度くらいしかない美術授業なので、規模の小さい学校なら全校生徒の授業を受け持っていました。全員の名前を覚えるのは大変でしたが「この作品はあの子のだな」と、作品とそれを作っている時の生徒の顔をつなぐことはできました。夢中になって作品に向かって手を動かしている姿は美しいものです。

心に残る作品をつくっていた子に「この前の君の絵はすごく面白かったね。家に飾った?」と聞くと「持ち帰ったら、速攻でお母さんに捨てられちゃった。」とケロッとしています。ガクッとしてしまいますが、本当はそれでいいのです。子どもが小さければ小さいほど、その子が描いた絵などは、できたその絵ではなく描くというその行為に価値があるのです。良いことも悪いことも、自分の心の中に溜まっているものを外に吐き出していかないと新しいことは頭に入ってきません。子どもの作品は、言葉や行動で表現しきれない分絵をかいて吐き出す排泄物のようなものです。

いつまでも作品にこだわるのは、その子が成長して自分の分身として認識できるようになってきたか、親など周囲の人間がその時のその子の思い出を忘れたくないからです。だから、家の子どもたちの作品にいつまでもこだわっているのは、母親である自分だけなのかもしれません。終活の一つとして、早く作品の整理をして一つの区切りをつけないと子離れできないのかもしれません。

 

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