手抜き生活

天目青磁 ~内祝い話:その1~

27年前出産し親になりました。初めての子だったので、ベビーグッズはすべて新しいものを揃え、お宮参り用の着物を着せてお宮参りをしました。周囲の方々にもお祝いをいただいたので、柴垣六蔵さんという陶芸家の方にお願いして内祝いの茶碗を作ってもらいました。自分で山に入り自分でこれだと思う土を探し、釉薬もこだわりの配合で、とても味わいのある作品を作る方です。

天目青磁という分類に入る茶碗をつくっていただきました。天目は口づくりの形が少し反り返っていて、茶碗の中では格が高くなります。青磁は、高温で焼くと釉薬が溶けて青緑色の透明なガラス質の表面になるものです。古代中国の人々は、翡翠(ひすい)を最も高貴な宝石としていたのですが、それに少しでも近づけて作ろうと発明した釉薬だそうです。それが高麗でさらに技術が磨かれ、日本に伝わり昔から多くの陶工が取り組んできました。

青磁は焼成温度が足りないとざらついて美しい色が出ません。逆に高すぎると透明度は高く発色もよいのですが、てかてかして品がありません。柴垣さんの天目青磁は、その中間の絶妙な明るい水色に近い天目釉です。半透明で淡く薄水色に輝いて、所々溶け残りが味わいとなっていて素晴らしい作品です。未熟児で生まれた娘は細くか弱くて、元気に明るく育っていってほしいという私たち親の願いを表現してくれているような気がしました。作品が出来上がって、茶碗と一緒に娘を写真に収めたころは、すっかりむちむちに太って願いどおりでしたが。

そして、今年の6月その長女が男の子を出産しました。私達にとっても初孫です。夫は娘夫婦が頼みもしないのに、再び柴垣さんに内祝い茶碗を頼んで作ってもらっていました。贅沢な話ですが、娘の内祝いの茶碗は、昔から抹茶茶碗としてではなく、ご飯茶碗として欠けた部分も金継をしながら日常使いしてきました。娘にとっても愛着のあるものだったので、自分の子どもにも内祝い茶碗をつくってくれたのは、嬉しいサプライズだったようです。娘が全然やろうともしなかった茶道を、興味をもって習っていたお婿さんは、それに輪をかけて喜んでくれたのでよかったなあと思いました。(アイキャッチ画像)

作品は、同じく高麗青磁ですが、娘の時より少し青緑色が強く、繊細な中に男の子らしい力強さが加わった素晴らしい作品です。娘夫婦の家へ遊びに行ったときは、お婿さんがおいしい薄茶を入れてくれるのが楽しみの一つになりました。

 

\クリックして応援してね!/
にほんブログ村 ライフスタイルブログ 暮らしを楽しむへ