旅行

中馬のおひなさん(ちゅうま)

愛知県の足助(あすけ)町は、晩秋のもみじが美しい香嵐渓が有名ですが、古い町並みもあり2,3月は「中馬のおひなさん」というイベントが行われて、訪れる人々でにぎわいます。江戸時代の足助は、飯田街道を通って信州のタバコや米と三河地方の塩や土人形などの物産を売買する中継地点で、結構栄えた村だったそうです。

毎年古い町並みには土雛や餅花などが飾られて、ぶらぶら歩くと面白いのですが、今年はコロナの関係で随分縮小されているようでした。私はビーズや和布で作った飾り餅花を買いましたが、娘たちは本当の餅花を体験で作りました。

昭和の初め頃くらいまでは、私の母の実家は三河地方の碧南市というところに住み、いい土が取れたので、成型、焼成してレンガを製造していました。赤レンガではなく、かまどなどに使ういぶした黒レンガです。母は子供の頃勉強していると「勉強なんかしてないで、レンガを磨け!」と叱られたそうです。焼成しただけのレンガはすすけていて、わらなどで磨いてすすを落としてつやを出して売り物にするのだそうで、子どもも大切な労働力だったようです。

磨いたレンガはリヤカーに積んで、足助まで人力で運んで行って売ることもあったそうです。碧南から足助までは70キロくらいあり、しかも山間なので相当大変だったと思います。三河土人形もよく売れて、同じように足助に売りに行ったそうです。

日本中の街道や宿場町は、道路や鉄道の開設とともにすたれてしまっていたので、自分にとっては足助は田舎の観光地という感覚でした。大人になってから、母からそういった話を聞き、意外な繋がりがあることに驚くとともに、母の世代の人たちは見る見るうちに便利になっていく世の中で、激しい移り変わりを目の当たりにしながら生きていたのだなと感じました。

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