自分が住む町などにもベトナム料理を扱う店が数件できてきましたが、本場の味を食べてみたくて、今回はどんな料理が食べられるのか楽しみでした。

初日の午後行ったのは、ベトナムに行ったことがあるグルメな友達に教えてもらった「ブン・チャー・ダック・キム」です。
ブン・チャーという甘めの透明な汁の中に、何かの葉っぱで包んだひき肉のつくねやスライスしたタケノコが入っています。びっくりするくらい山盛りの雑草のような葉っぱがボールに入れられて最初に出てきます。所々パクチーや他の野菜などが入っていますがほとんどがミントで、隣のお姉さんは茎から葉っぱだけをちぎって汁に入れていました。汁はやや濃いめの味付けなので、この中にフォーより少し細めのブンという米麺を入れて食べるのですが、この他にあげ春巻きのようなものが別の皿に付いてきます。

とても美味しいのですが、ブン専門店なので店に入ったとたん店のおばちゃんにどれにするのかせっつかれて、とりあえずメニューを指さして頼んだのは豚の焼肉入りのブンだったので、肉好きにはたまらないのですが、かなり脂っこくて食べきれませんでした。

この日の夜は、ホテルのスタッフに教えてもらった「バインミー25」に行きました。日本でもバインミーを食べたことがありますが、パンも中の具もこの店は抜群においしかったです。下の画像奥にあるベトナムの醤油(魚醤?)をほんの少しかけるとまた味にコクが出ます。

注文する場所とは道を挟んで反対側に食べるスペースがありました。ちょっとおしゃれなインテリアで、若者にとても人気があるようです。翌々日にお会いしたツアーのガイドさんもこの店が美味しいとお勧めしていました。

宿泊先のLa Siesta Premium Hang Be はきれいで設備が整っているうえに、旧市街の中心地にあるので、夜でもブラブラ歩いて町を楽しめます。すぐ近くにビア・ストリートという所があり、夜になると歩行者天国になり道にびっしりとテーブルと椅子が並べられてにぎわいます。この日は、ベトナムの休日だったので、夜まで家族連れも含めて大変な賑わいでした。

私たちも少しビールを飲むことにして、おつまみに甘辛のたれが付いた唐揚げを頼みました。ほとんどが鶏の足先で結構グロテスクでしたが、細かい骨の周りの身や皮がとてもおいしかったです。日本ではきっと捨てられてしまう部位でしょう。

ホテルはビュッフェ形式の朝食付きでしたが、とても質が高くて三日間美味しい朝ご飯が食べられました。

ビュッフェで並んでいるものの他に、卵料理やフォーなども頼むことができて、上品な味を楽しめます。

ラテも頼めて、本格的な味わいなのが嬉しかったです。

翌日は、ツアーを入れたので船の窓からハロン湾の奇岩を眺めながら優雅に船上ランチです。彩も鮮やかで、茹海老やカキなどもでて食材は結構豪華ですが、日本人の口に合うように無難な味付けでした。

ツアーから帰ってくると夜七時半ごろになってしまい、レストランに行く元気も時間もありません。この日の晩も人気の店「BANH MI LONG HOI」に行きました。

ベトナムでは間口の広い店は税金がとても高くかかるそうなので、一階が注文口で二階、三階がイートインスペースになっている店が多いです。我々は超狭い階段を上がって三階で食べましたが、年寄りが多い日本では苦情が出るかもしれません。ベトナム国民の平均年齢が二十七歳と日本の半分くらいの若い国では、苦にならないのかもしれません。

この店ではフォーもメニューにありました。バインミーのパンがフランスパンでカリカリでとてもおいしいのは、フランスの植民地時代から美味しいパン作りが行われてきたからでしょう。


旅行中最もディープだったのはこのホアン・キエム湖のほとりにある「PHO THIN」です。小さな看板の下を通ると、店というよりも両側の建物の壁の間の通路が店になっている感じです。

ちょうど店内の席がいっぱいだったので、ずうっと奥に通されると本当に通路になってしまいましたが、その横にある扉を開けると小さな部屋があり、そこに席を作ってくれました。

この店もやはりフォーしかないので、数だけ聞かれてまもなくフォーが運ばれます。牛肉の出汁が効いてさっぱりしていて、疲れてきたときはこれが一番です。

友達に魚料理の美味しい店を紹介されたのですが、旧市街からちょっと離れたところにあるので、同じように魚料理で人気の高い「Cha Ca Thang Loong」に行きました。チャー・カーというのは魚料理のことらしいです。

大教会周辺は高級店が多く、この店もエントランスから高級です。私たちが行った店の中で唯一カード支払いができる店でした。

フライパンに黄色っぽい色のついた魚が乗せられて火にかけます。火が通っているのかと思ったら香辛料に付けてあるだけの生でした。ハノイは内陸部なので、川魚を使っていて臭みを消すためなのでしょう。

土曜日なので現地の人たちで大賑わいです。魚に火が通りかけてきたころ、店の人が細ネギとチャービルのような香草をドバっとフライパンに投入します。

野菜にも火が通ってきたら小皿に取り、ミント、白ネギ、ピーナッツ、トウガラシなどをお好みで乗せて食べます。魚はかなり脂がのっていて味はたんぱくですが、腹ごたえがあって美味しいです。ブンもつくので、にじみ出てきた汁にあえて食べます。

最終日の晩御飯は空港へ向かうために早めに取らなければいけなかったので、評価の高いレストランに行きました。ところが店は満員で違う店に行こうかと思ったところ、もう一軒同じ店が歩いて5分くらいの所にあるというので、そちらの席をキープしてもらうことにしました。

旅行中の数少ないご飯だから失敗したくない。かといっておなかもあまり空いていないというときは、やっぱりフォーが一番です。

ベトナムではレモンジュースとマンゴージュースはどの店で食べても美味しいくてはずれがありません。こちらでは思いがけずスイカのジュースも美味しかったのですが、これは蒸し暑いベトナムの町中で飲むから美味しいのであって、日本ではそのままかぶりつくのが一番でしょう。
手巻き春巻きがあったので頼んでみましたが、お店のお姉さんが食べ方を実演してくれました。中に入れる具はほとんど生春巻きと同じですが、パパイヤの細切りや卵焼きに肉を入れて焼いたような具を入れるのがミソで、あげ春巻きのような濃厚さと生春巻きのさっぱり感が合わさってとてもいけます。

ホテル近くのホアンキエム湖は、旅行中に周辺を何度も行き来した想い出深い場所となりましたが、その湖が描かれた壁面を背に最後のおいしい思い出が作れました。