先日父方の叔母が亡くなりました。父方の兄弟は9人という大人数なので、昔からの取り決めとして冠婚葬祭の参加者が膨大にならないよう基本的に各世帯から一人ずつ参加するという事になっていました。
自分は外に嫁に出たので、父が亡くなってからは私の妹が実家代表として参加していました。
けれどもその叔母は、父のすぐ下の妹で私の小さいころからいろいろと面倒を見てくれていて親しくしていたので、妹と一緒に私も通夜、葬儀共に参加しました。
通夜の前後親戚中集まって昔の話や近況を伝えあったりしていましたが、その時兄弟姉妹が9人というのは無事大人になるまで成長できた人数であって、本当は12人前後祖母は出産していた(正確な数は分かりませんが)という事を知りました。
現代だとびっくりですが、80,90年くらい前までの妊娠適齢期女性は、それくらい出産を経験するというのはそれほど珍しいことではなかったようです。
話は変わりますが、大阪の国立民族学博物館が発行している月刊誌「みんぱく」の2023年6月号に、自分にとっては目からウロコの記事が載っていました。
その号は「フィールドワーク×月経 ー類人猿・人・フィールドワーカーー」というテーマで、その中の徳山奈帆子(京都大学野生動物研究センター助教)氏が「整理が”しんどい”のはヒトだけ?」という記事を見てびっくりしたのです。
驚いた点は主に二点あって、その一つは月経がある動物は哺乳類の内たったの2%であることです。私は、てっきり哺乳類のすべてに月経があると思っていました。他の98%はないのだとしたら、どんな方法で胎児を体内で育てるのだろうというのが疑問です。それに関してはこの記事では述べられていなかったので、また後日調べてみたいと思います。
驚いたことのもう一つは、生涯月経数です。人間に最も生態が近いとされるボノボは、初経以後に出産してもそれほど期間を置かずに次の妊娠をするので生涯月経数は72回程度です。
それに比べ現代日本人の生涯月経数は400~500回といわれ、ボノボなどの5倍以上なのです。これは現代になるほど生活環境や栄養状況が向上したため、昔の女性よりも初経がかなり早く訪れることも一因だそうです。
冒頭で述べた祖母の出産経験が十回以上というのは、ある意味現代女性よりもボノボに近い生涯だったのかもしれません。私自身は初経から初産までは、月経痛で毎月悩まされましたが、4度の出産を経るうちにその痛みは和らいでいきました。
そして、この多すぎる月経数が月経困難症や子宮内膜症などの発症リスクを上昇させているのだそうです。
私の娘は昔から月経困難症で、あまりの激痛で救急車で病院に搬送されたりすることも数回あり、婦人科でピルを処方されていました。
私は「女性の生理痛は当たり前で、我慢するものだ。」と思って育ったので、ピルを長い間服用するのは、不自然で体に良くないのではないかと心配してきました。
けれども、この記事を読んで現代女性の置かれている状況こそが不自然で、大変な状況なのだという事を知り、長い間のわだかまりが溶けました。
ネットなどで、ヒトと動物の月経の違いという言葉で検索してみても、このような観点で述べられている記事はほとんどありません。
世の中月経困難症で苦しんでいる女性はたくさんおり、その数は増える一方だと思います。我慢できないで薬に頼るのはわがままだとかいう根性論ではなく、もっと多くの人々がこの事実を知り、自分の生理をコントロールして、通常の生活を苦しまずに送れるようにすることが必要だろうなあと思っています。