アート

10年物語 ~その2:彫刻家若林奮さんがつくったダイニングテーブル~

わが家のダイニングテーブルは巨大で、初めて家を訪れた人はあまりのゴツさにびっくりします。天板は縦220センチ・横109センチ・厚さ7センチの形に板が組み合わされていて、脚は数十階建てのビルを作るときに使うH鋼という重量鉄骨を使って、ボルトで組んであります。

これは31年前結婚するときに、夫が彫刻家の若林奮さんにお願いして作ってもらったものです。若林さんの作品そのままに、素材や作り方にこだわったものです。当時6階建てのマンションに入居したのですが、エレベータはもちろん階段でも上げられなかったので、これもやはりビルを建てる時に使うクレーン車を頼んで、6階まで吊り上げて部屋に入れてもらったのでした。

子どもが小さいときは、ころんで天板を支える内側の鉄板や脚などにぶつかったら出血モノだといつもひやひやしながら生活していました。こちらの心配をよそに、子どもたちはこのテーブルの下に、おもちゃを持って入り込んで遊ぶのが大好きでした。天板がかなり大きいので、ちょっとした小屋のようで、自分の秘密基地という気分になれたのでしょう。

若林さんが亡くなって数年たちますが、現在神奈川県立近代美術館 葉山で、美術館のコレクション展として作品が並べられているので見に行ってきました。(下の画像:美術館のホームページより)

美術館の企画展と隣り合わせの部屋に数点の作品が展示されています。これらは、長年にわたって作品を集められた個人コレクターの方が、美術館に寄贈されたものだそうです。そのコレクションの質の高さに驚かされます。

わが家を新築した時に、天井の低い物置部屋を使って子どものおもちゃ部屋を作りました。そこだけはちょっと遊んでやろうと思い、天井は青空に雲が浮かんだ壁紙、一面はノアの箱舟をモチーフにしたいろいろな動物が描かれた壁紙、もう一面はただのまっ黄色です。当時から二人の彫刻家若林奮さんと村岡三郎さんの作品が大好きだった夫は、二人が共通してよく使う材料の硫黄の色を使いたいと思ったようでした。

先日この部屋のエアコンを取り換える工事を行ったので、荷物にうずもれていた黄色い壁面がパーッと表れて、ハッとしました。心が新築当時の新鮮な気分で洗われるように感じたのでした。子どもたちはこの部屋がすごく気に入って、たくさんのおもちゃに囲まれて遊んでいた光景を思い出します。

一つの出来事から、我が家の歴史がいろいろと思い出され、すっかり忘れていたこともポロポロと思い出します。現在は私の寝室になっているこの部屋も、孫がもう少し大きくなったら、おもちゃを持ち込んで遊び場にするかもしれません。

 

\クリックして応援してね!/
にほんブログ村 ライフスタイルブログ 暮らしを楽しむへ