近年のペットブームにコロナが追い打ちをかけて、空前のペットブームが起こっているようです。先月も近所に大手チェーンのペットショップがオープンしました。しかも、その場所は以前からあった大きなペットショップから500メートルくらいしか離れていないのです。
朝のウォーキングでも、近所の娘さんがかわいいスコッティッシュテリアを連れているのをよく見かけます。ある日、その娘さんと双子の姉妹の娘さんも散歩に参加し始めると、まもなくもう一匹のかわいいミニチュアプードルを連れてくるようになりました。
彼女らは家の息子と同級生なのでどうしたのかと尋ねると、一匹目があまりにもかわいいので姉妹で取り合いになってしまうため、もう一匹おねだりしたのだそうです。毎朝二人と二匹が絡み合って楽しそうに散歩する姿はとても微笑ましいものです。
ただ、ペットにかかるお金は思った以上に大変で、小型犬は数十万円はします。餌代やペットシーツ代だけでも毎月かなりの出費です。
わが家のおじいちゃん犬のムーンは、とても丈夫で17歳を超えてもほとんど病気をしたことがありませんでした。でも、年とともに歯が歯槽膿漏になり、手術で抜歯することもできない年齢なので、あまりにも口が臭くなってくると、抗生物質を時々飲ませるようになりました。
通院すると、薬代を含めて一回五千円前後はかかります。今まで丈夫で病院通いもせずにきたので、これくらいの出費は仕方ないかなと思ってきました。
ところが、6月に入ると突然高熱を出し、胆汁のような嘔吐を繰り返してダウンしてしまいました。慌てて病院に連れて行き、水分補給、抗生物質、おなかの薬の注射を3本打ってもらいました。歯の化膿から体内に菌が繁殖したのが原因らしいのです。
隣県に下宿していた下の娘も慌てて帰省して看病してくれました。3日目に少し良くなってきたので、後を娘と長男に託して以前から予定していた上の娘の所へ二男とともに出かけました。
夜上の娘の家に到着し、ムーンの容体はどうかと電話してみました。すると、昼間は比較的よくなってきていたのに、今では水を飲みに来て冷蔵庫の前で力尽き、そこでずっと横たわったままになってしまったというのです。
私は、亡くなった父や叔父のことを思い出しました。80歳前後になった人は一度体調を崩すと、よくなりかけたように見えても基本的な体力が落ちているために、ある時急激に体内で菌が増えて肺炎を起こし、あっという間に命を落としてしまうのです。
人間で考えると90歳超えのムーン(あと3年頑張ればギネスブックものだそうです)も、このままでは同じようになりそうで気が気ではありません。明日の朝家に戻ろうと話していたのですが、それでも今晩が山のような気がして自分が眠れそうにありません。だったら今から帰ろうということになりました。
上の娘は、小さいころから犬が飼いたくて飼いたくてずっとおねだりしてきました。それで、下の娘が3歳になったらと約束し、その3歳の誕生日を過ぎた秋からムーンを飼い始めました。それ以後ずっとかわいがってきた犬なので、とんぼ返りしようとする私たちに、上の娘も自分もどうしてもムーンの所に行きたいと言って、高速道路の途中のサービスエリアまで追いかけてきて合流し、孫と一緒に帰省しました。
途中まで送らされたお婿さんもとんだ災難でしたが、バタバタの中で夜中に駆け付けた家で、ムーンは苦しそうではありましたが息をして私たちを待っていてくれました。
二男は、ムーンが吐いてもおしっこを漏らしても、自分の布団の上で一緒に寝てやっています。自分にはとてもできないなあと思いますが、連日動物病院で点滴を打ってもらいに連れて行くのも息子です。
体長を崩し始めて10日目ですが、一進一退を繰り返すムーンを囲んで、我が家はやれるだけのことはやってあげようという気持ちです。ムーンが歩いてトイレをしたり水を飲んだりするだけで、一喜一憂する毎日を送っています。