出産のために我が家に娘が帰ってきていた時、彼女があるマンガを取り寄せました。「王様ランキング」という題名です。なんでも、最初はマンガ雑誌に掲載されていたのではなく、SNSで発信されていた素人の漫画が話題となり、ついには単行本が出版されたということです。
マンガの絵は少年漫画っぽく、簡素なタッチです。強大な王の息子ボッジは、耳が聞こえず話もできず小さくて弱くてみんなから馬鹿にされています。そんなボッジはいつもニコニコ幸せそうにしているので、それにつけこんでカゲという怪しい者がボッジを利用しようとします。でもカゲは、ボッジが陰ではみんなの蔑みに耐えてけなげに生きているのを知り、力になってやろうと決心します。次第に過酷な運命に巻き込まれ、ボッジはカゲと旅に出ますが・・・。
ありがちなストーリーですが、辛くても明るくふるまうボッジを支えているのが、幼少の頃に義母から愛された記憶だったということ。何の能力も持たないように見えたボッジはその弱さを逆に強みに変えて成長していくところなどに引き込まれます。
そして、作者の十日草介さんは若いころ漫画家を目指していたのですが、挫折してしまったそうです。でもあきらめきれず、40歳を過ぎてから漫画を再び描き始め、ずっとブログに掲載していた漫画が、ある日急に注目されるという新しい形で世に出てきました。公式のサイトもでき、今年中にはアニメ化されるというから驚きです。昔はユーチューバーという職業なども考えられませんでしたが、これからどんな職業がうまれてくるのだろうかと思います。