私はゾウが好きです。どこかに出かけてお土産などを眺めていると、かわいい動物の小物が並んでいたりします。最初に目についたものを手に取っているうちに、ふと近くにゾウの小物があるとどちらを買おうかかなり悩みます。
パッと目についたものとゾウが一致したものは長い間自分を楽しませてくれますが、とりあえずゾウを選んでおこうという形で手に入れたものは、しっくりこなくて棚の奥に追いやられていきます。
いつのまにかゾウの小物が家中のあちらこちらに増えてしまいましたが、もともとは昔夫が私のことをゾウに似ていると言い出したことから始まります。
ゾウと言えば灰色で大きくてごつい感じですが、自分ではそちらの特徴からではないと思っています。ゾウの別の特徴である鼻が長くて耳が大きいというところから「ゾウみたいだ。」ということになりました。
鼻と耳が大きいというのは、小さいころからのコンプレックスでした。気にしないようにしようとしても、時々人に指摘されると笑って受け流しますが、内心落ち込んでいたのです。両親は鼻が高いのは彫りが深くていいし、耳が大きいのは財産を受け止めて金持ちになるからいいのだと言っていましたが、子どもにはそれはコンプレックスを打ち消す理由にはなりませんでした。
自分にそっくりな長男が中学生くらいの頃、鼻が高いのはお母さんに似たせいだと言って嘆いていたのを聞いて、この子も私と同じ悩みを抱えて育ってきたんだなと思いました。
不思議なことに孫の耳が私にそっくりで、この子も大きくなってくると「おばあちゃんに似たせいだ。」と言って嘆くのかなと思うと、自分に似たところがあって嬉しい反面、ごめんねという気持ちにもなります。
未だに自分の鼻と耳が気に入っているわけではありませんが、夫がゾウに似ていると言い出したのは、決して私の容貌を非難しているわけではないと分かっていたので、何となくゾウが気になるようになりました。
2９年前、夫が自分で起業し経営者になると言い出した時、店の名前は、夫と自分と生まれてくる子供の字を一文字ずつ入れてつけました。そして、大好きなゾウをデザインしてマークとして加えました。
ありがたいことにこの店は、今だに名前もマークも活躍してくれています。
