先日庭でくつろいでいると、何か視界を横切る影がありました。目をあげると、15センチほどもあるクロアゲハが飛んでいます。普通のアゲハの倍くらいもある大きさなので、ヒラヒラというよりヒラリヒラリと優雅に、黒い喪服を着た女性がダンスを踊っているようです。
庭の中をずっと飛び回っているので、そ～っとスマホを構えて写真を撮ろうとするのですが、見た目以上に動きが素早いのです。目の前に近づいてきたときもあったのですが、全然シャッターが切れません。
ようやく撮れたのが、アイキャッチ画像内の画面中央よりやや右下に見える黒い物体です。（下の画像は妹が実家で取ったアゲハチョウで、ジーッと花の蜜を吸っていたので簡単に撮れたそうです）
6年前父が死んだ日、葬儀などの準備をするために病院から家に戻った時のことです。車を降りてふと脇の裏庭に続く通路に目をやると、大きなクロアゲハがヒラヒラと飛んでいます。引き寄せられるように裏庭に向かうと、クロアゲハは裏庭でしばらく飛んだ後どこかへ行ってしまいました。
翌年の同じ7月20日にも、同じようにどこからともなく大きなクロアゲハが飛んできて、しばらく私の周りでヒラリヒラリと飛んでいきました。さらに翌年の命日にもやってくるかなという予感がしていましたが、この時は庭ではなく自動車で家の近くを走っている時に飛んできて、信号待ちをしているしばらくの間車の横をくるくると回ってどこかに行きました。
自然の中の生き物だし、裏庭の金木犀の葉を食べて育ち、ちょうど7月に羽化して飛び回る昆虫です。見かけるのは当たり前なのですが、三回忌まで毎年同じ日にやってきたので何となく父がやってきたような気がしていました。
それ以後はほとんど見かけなかったのですが、9月になって久しぶりに我が家にやってきました。後で何のお知らせだったのかなと考えてみると、父の誕生日の前日だったので「命日より誕生日祝いをしてくれ。」と言っているのかもしれないし「もうすぐお彼岸だからお参りしてくれ。」と言っているのかもしれません。
どちらにしても、生きている者の気持ち次第ですが、来年もクロアゲハが飛んできてくれるといいなと思っています。
